助さん・格さんのドライバー日記
2001年12月28日 格さんのひとり言 生命(いのち)のメッセージ展から
 交通事故犠牲者の遺族らでつくる実行委員会による「生命(いのち)のメッセージ展」が、全国に広がっている。今年、門真市と大阪市の2会場で開かれた。歩行者と車が交差点に同時に入らないようにする「歩車分離式信号」の増設、一定の地域を歩行者優先に整備するコミュニティー・ゾーン形成事業の推進に加えて、歩行者を守るためには、運転者や社会の意識改革が欠かせない。「生命のメッセージ展」は、クルマ優先から歩行者の命を最優先する社会への転換を促す力がある。  

 昨年4月、無免許で酒気帯び運転の車に大学生の長男(当時19歳)の命を奪われた神奈川県の造形作家、鈴木共子さん(52)は、悪質ドライバーの量刑見直しの署名活動を展開した。その一方で、「制度の見直しも大切だが、もっと人の心に訴える活動をしなくては」と考え、犠牲者の生きた証しを形にして、命の重みを訴えようと考えた。 

 亡くなった人と同じ背丈の人形に、遺影や将来の夢を張り、愛用した靴などを展示。今年3月、JR東京駅前で初めて、犯罪被害者ら16人の人形を展示した後、静岡県浜松市、神奈川県座間市、奈良県生駒市で開催。今後も神奈川、千葉、山口県などで予定している。 

 11月23〜25日に開いた阿倍野区民ホールの会場には、64人の等身大の人形が並んだ。99年11月、東名高速で飲酒運転の大型トラックに追突され焼死した千葉市の井上周子(ちかこ)ちゃん(当時1歳)の人形は1メートル足らずで、ピンク色の帽子をかぶっていた。足元にはキティちゃんのうちわと、よごれた小さな靴。 

 隣には同じ車内で「あちゅい」(熱い)の言葉を最後に焼死した姉の奏子(かなこ)ちゃん(同3歳)の人形が……。訪れた人たちは、目を赤くして見入った。今年11月28日、2人の命日に飲酒運転などを厳罰化する刑法改正案が成立した。 

 バイクで通学中、信号無視の大型トラックにはねられて96年12月亡くなった阿倍野区の大学生、米村泰彦さん(当時20歳)が作詞・作曲した「夕刻と時計台」と、いじめを苦に98年に自殺した横浜市の高校生、小森香澄さん(同15歳)が9歳の時に作詞した「窓の外には」の“共演”もこの会場で実現した。 

 米村さんの母校・市立文の里中学校吹奏楽部が2人の曲を演奏。小森さんの母美登里さん(44)は「娘も吹奏楽部でトロンボーンを吹いていた。楽器を持つ同じ年代の女の子を見るのはつらいけれど、死へ追い詰められる約1週間前に『やさしい心が一番大切だよ』と、娘が私に言った言葉を多くの人に伝えたい。娘の死を無駄にはしない」と会場で語った。 

 実行委のメンバーで、米村さんの父幸純さん(51)は「阿倍野会場のテーマは対話だった。無念の思いで亡くなった犠牲者、遺族、ボランティアとの対話から感じた命の大切さを未来につなげる対話を、他の誰かとして広げてほしい」と願っている。

トップページに戻る
Copyright.(C) 2001 Rikusou Village.All Rights Reserved
記事・画像等を無断で転載することはできません。
・このページへのご意見・ご要望は info@transport.ne.jp